経営判断で現場が動かない理由

 

経営陣が指示しても現場が変わらない

VUCA時代と言われて久しく、複雑で不安定な市場で生き残るため、経営者・経営陣と言われる方々は様々な意思決定をしています。マーケティング戦略・商品戦略・営業戦略・人事戦略・内部オペレーション等の改革も日常的に行われている企業が多いことでしょう。
そんな中、
「経営陣が改革・変革の方向性を示しても現場がなかなか変わらない」
 
という声を多く聞きます。
現場が反対しているならともかく、
指示が伝わったように見えて、結果的に思ったような変化が起きない
 
という、経営陣からすれば理解に苦しむケースも。

経営陣と現場の異なるコンテクスト

ではなぜこのようなことが起こるのでしょうか。

一つには、

 

経営陣と現場が置かれているコンテクスト(文脈)の違い

 

が考えられます。

コンテクスト(文脈)を言い換えると

 

時間軸・視座の違いです。

 

(1)経営陣のコンテクスト

時間軸:中長期

視座:組織トップから見える市場と世の中の景色

 

(2)現場

時間軸:目の前の業務

視座:担当業務から見える景色

 

このような違いがあるので、経営陣から思えば当然の判断でも、

 

現場からすると

 

どうして?

苦労して取り組んでも意味がない

上は全然わかっていない

 

という納得してない状態となります。

 

人は感情で動く、腹落ちしなければ誤魔化す
納得しない指示や方針に対しても、会社員であれば一応はわかったふりをします。

そして、自分のコンテクストで優先順位を決めてしまうでしょう。

 

経営陣としては

「とにかくやらせればいい」

 

と、ひたすら高圧的にマネジメントする手段もありますし、そうしたパワープレイも必要かも知れません。しかし、

 

パワープレイ一辺倒では、昨今の粉飾決算、製造業における不正検査問題のような事態を助長しかねません。

 

継続的な対話と噛み砕いたメッセージ
改善するには、
「関係性」と「メッセージ性」

 

がポイントになります。

関係性とは、近頃のよく言われる「心理的安全」も含めた環境も含みます。

経営陣から現場までの

 

継続的な対話の機会

 

が必要です。

 

また、コンテクストを情報の量と質の観点で捉えれば、

 

より噛み砕いたメッセージ

 

で経営から現場に伝えていく必要もあるでしょう。経営陣だけでなく、管理職層の腕の見せ所でもあります。

 

経営陣と現場。

 

立場が違っても、会社が生き残る・会社が成長するということは、お互いにとってメリットです。

 

「関係性」と「メッセージ性」の観点で、立場ごとに異なるコンテクストを乗り越え、

同じ方向を向いて進んでいきたいものです。



著者プロフィール

佐藤 春幸(さとう はるゆき)

プロコーチと(株)セイムペイジ人事責任者のパラレルキャリア。コーチング・組織開発など、変化の渦中にある人と企業を支援。

米国CTI認定CPCC(プロフェッショナル・コーチ)